国において成立した令和2年度の第二次補正予算を受け、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)が創設されました。
介護事業者は必見の内容です。
この記事では、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)について概要をまとめます。
なお、動画でわかりやすく知りたいという人は、以下の記事で、一般社団法人全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長のYouTubeリンクを掲載しているので、参考にしてください。
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新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)とは
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)とは、国において成立した令和2年度の第二次補正予算を受け創設された事業です。
新型コロナウイルス下で運営する介護事業者が、事業で使う経費についての支援や、介護職員に対する慰労金が支払われるといった内容です。
厚生労働省によると、事業の目的は以下の通りです。
介護サービスは高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可
欠なものである。
今後は、介護サービスが、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高
い高齢者に対する接触を伴うサービスであるという特徴を踏まえ、最大限の感染症対
策を継続的に行いつつ、必要なサービスを提供する体制を構築する必要がある。
このため、感染症対策に必要な物資を確保するとともに、感染症対策を徹底しつつ
介護サービスを継続的に提供するための支援を導入する。
また、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じながら介護サービスの継続に努め
ていただいた職員に対して慰労金を支給する。
さらに、サービス利用休止中の利用者に対する利用再開に向けた働きかけや感染症
防止のための環境整備の取組について支援を導入する。
なお実施主体は都道府県となっています。
事業内容について
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)は、以下の3つの事業から成り立っています。
- 介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業
- 介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給事業
- 介護サービス再開に向けた支援事業
以下、一つずつ見ていきます。
介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業
厚生労働省によると以下の内容です。
介護サービスが、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高い高齢
者に対する接触を伴うサービスであるという特徴を踏まえ、最大限の感染症対策を
継続的に行いつつ、必要なサービスを提供する体制を構築するための支援を行う。
こちらの事業では、利用者または職員に感染者が発生しているかどうかを問わず、すべての介護サービス事業所と介護施設等に対して、支援が行われます。
支援内容
支援内容は、「かかり増し経費」ということになっており、実に幅広い内容がカバーされています。
例えば、衛生用品の購入はもちろんのこと、面会室の改修費や自動車の購入など、介護事業を運営する上で必要になる経費が幅広く例示されています。
以下のようなかかり増し経費について支援を行う。
(例)a 衛生用品等の感染症対策に要する物品購入
b 外部専門家等による研修実施
c (研修受講等に要する)旅費・宿泊費、受講費用等
d 感染発生時対応・衛生用品保管等に柔軟に使える多機能型簡易居室の設置
等
e 感染防止を徹底するための面会室の改修費
f 消毒費用・清掃費用
g 感染防止のための増員のため発生する追加的人件費
h 感染防止のための増員等、応援職員に係る職業紹介手数料
i 自動車の購入又はリース費用
j 自転車の購入又はリース費用
k タブレット等のICT機器の購入又はリース費用(通信費用を除く)
l 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の賃料・物品の使用料
m 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の職員の交通費、利用者の送迎
に係る費用
n 訪問介護員による同行指導への謝金(通所系サービス事業所が訪問サービス
を実施する場合)
o 医療機関や保健所等とのクラスター発生時等の情報共有のための通信運搬費
支援額
気になる支援額ですが、こちらもかなりの金額となっています。
詳細は
https://www.mhlw.go.jp/content/000641923.pdf
の10ページ目に出ていますので、確認していただきたいのですが、
例えば通所介護事業所では、
通常規模型で892,000円(一事業所当たり)となっていますので、
複数店舗運営されている法人では、事業所数をかけた金額となります。
また特別養護老人ホームでは、 定員1名あたり38,000円ですので、100名定員の事業所では3,800,000円もの支援額となります。
支給申請について
実際の支給申請に当たっては、管轄が都道府県となっていますので、事業所所在地の都道府県ウェブページで、FAQを参考にしながら申請してください。
介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給事業
こちらは相当ニュースで騒がれましたので、ご存じの方も多いと思います。
感染リスクの中、強い使命感を持って業務に従事している介護職員に対し、慰労金を給付するという内容です。
支援内容
こちらは、すべての介護サービス事業所と介護施設等で勤務する職員が対象となっていますが、利用者と接する職員であるという条件があります。
したがって、事務員専門で、利用者と接することがないという場合には対象外となりますが、微妙な場合には都道府県への確認をおすすめします。
また、
- 通算して10日以上勤務
- 利用者との接触を伴い、継続して提供することが必要な業務に合致
という条件が示されていますので、単発で1日だけやった、という人は対象外です。
支援額
新型コロナウイルス感染症が発生又は濃厚接触者である利用者に対
応した介護サービス事業所・施設等については、1人20万円、それ以外の介護サービス事業所・施設等については、1人5万円となっています。
留意点としては、
支給は、1人につき1回に限る
支給された慰労金は非課税所得になる
ことが挙げられます。
支給申請について
実際の支給申請に当たっては、管轄が都道府県となっていますので、事業所所在地の都道府県ウェブページで、FAQを参考にしながら申請してください。
介護サービス再開に向けた支援事業
こちらは、
- 在宅サービス事業所による利用者への再開支援への助成事業
- 在宅サービス事業所における環境整備への助成事業
で構成されています。
1については、訪問系サービス事業所、通所系サービス事業所、短期入所系サービス事業所及び多機能型サービス事業所に対して、サービス利用休止中の利用者への利用再開支援を行った場合に支援されます。
居宅介護支援事業所以外の在宅サービスでは、
電話による確認の場合は、1,500円(利用者1名あたり)
訪問による確認の場合は、3,000円(利用者1名あたり)
の支援額となっています。
居宅介護支援事業所では、
電話による確認の場合は、1,500円(利用者1名あたり)
訪問による確認の場合は、3,000円(利用者1名あたり)
となっていますが、
看護師等が協力した場合は、
電話による確認の場合は、4,500円(利用者1名あたり)
訪問による確認の場合は、6,000円(利用者1名あたり)
となっています。
2は、在宅サービス事業所全般に支援されます。
内容としては、
「3つの密」(「換気が悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」及び「間近で会
話や発声をする密接場面」)を避けてサービス提供を行うために必要な環境整備に
要する以下のようなものの購入費用等
について支援するもので、
例として以下のものが挙げられています。
- 長机
- 飛沫防止パネル
- 換気設備
- (電動)自転車(リース費用含む)
- タブレット等のICT機器(リース費用含む)(通信費用を除く)
- 感染防止のための内装改修費
支援額
こちらは一律20万円となっています。
支給申請について
実際の支給申請に当たっては、管轄が都道府県となっていますので、事業所所在地の都道府県ウェブページで、FAQを参考にしながら申請してください。
最後に
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)の概要についてまとめました。
実際の申請に当たっては、各都道府県のウェブページなどでFAQを参考にしてください。
新型コロナウイルス下であっても、介護サービスというのは休むわけにはいかない大変重要な事業ですので、このような公的支援は積極的に活用し、利用者へのサービス提供の水準を維持することはとても意義があることだと思います。
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